生殖医療の分野では
腟内・
子宮内フローラ
が注目

最近、妊活中の方がクリニックの先生からラクトフェリンを勧められるという話が増えているようですが、
「どうして妊活とラクトフェリンが関係するのだろう…」と思った方はいらっしゃると思います。
そのような方は是非、以下をお読みください。

健康な腟内にはラクトバチルス属細菌が豊富

健康維持のために腸内フローラが重要なことは広く知られるようになりましたが、今、生殖医療の分野では腟・子宮内フローラが注目を集めています。
生殖適齢期の健康な女性の腟内にはラクトバチルス属細菌が豊富に存在します。ラクトバチルスは乳酸や抗菌物質を生産し、病原性細菌やウイルスなどが増殖できないpHが酸性の環境を作り、感染症から腟を守る役割を担っていることが知られています。
一方、子宮内の細菌環境については、数年前まで、腟と空間的につながっているものの、子宮頸管から分泌される粘膜バリアの存在によって健康なヒトは無菌であると考えられてきました。しかし、細菌分析の技術の進歩により、子宮にも菌叢があることが分かってきました。

腟内・子宮内フローラの安定と妊娠環境

2016年に不妊と腟及び子宮内の細菌叢の関係を調査した結果、正常な子宮内の細菌叢(さいきんそう)は着床期間中、非常に安定に保たれること、また、細菌叢中のラクトバチルス属細菌の割合の低下が対外受精患者の妊娠率・着床率・妊娠継続率・出産成功率の低下と相関していることなどが報告されています。

不妊と腟及び子宮の細菌叢の関係

ラクトバチルス
優位群
ラクトバチルス
低位群
妊娠率 70.6 33.3%
着床率 60.7 23.1%
妊娠継続率 58.8 13.3%
出産成功率 58.8 6.7%

【出典】Moreno I et al. Am J Obstet Gynecol. 2016 Dec;215(6):684-703. Evidence that the endometrial
microbiota has an effect on implantation success or failure.

女性生殖器と微生物フローラ

ラクトフェリン摂取時の
臨床試験データ
(対、腟内・子宮内フローラ)

ラクトフェリンでラクトバチルス属細菌が増加

ラクトフェリンは、細菌の生存・増殖に必要な鉄を奪う能力により静菌作用(細菌の発育や増殖を抑えるはたらき)をもっています。
2016年、早産を繰り返す難治性細菌性腟炎患者の腟内細菌叢は、正常な腟内に多いラクトバチルス属細菌が顕著に減少しており、このような患者にラクトフェリンの摂取をすすめたところ、ラクトバチルス属細菌が増加し、妊娠にいたった事例が報告されています。

腸溶性ラクトフェリンでの臨床試験データ

臨床試験 1
9名の不妊症の女性に抗生物質を1週間投与後、ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり300mg摂取してもらい、2ヵ月後に子宮内フローラを調べたところ、全例においてラクトバチルス属の割合が大幅に高くなりました。

【出典】Kyono K. Hashimoto T. Kikuchi S. Nagai Y. Sakuraba Y. A pilot study and case reports on endometrial
microbiota and pregnancy outcome: An analysis using 16S rRNA gene sequencing among IVF patients,
and trial therapeutic intervention for dysbiotic endometrium. Reprod Med Blol. 2018

臨床試験 2
ラクトバチルス属細菌の割合が少なく、2回の体外受精が成功せず、次の体外受精前にフローラの改善を希望した33歳の女性に抗菌抗生物質での治療と並行し、ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり300mg摂取してもらいました。24日後に子宮フローラを調べたところ、ラクトバチルス属細菌の割合が高くなっており、その後、体外受精で妊娠に成功しました。

臨床試験 3
難治性の
細菌性腟炎

腟を酸性に保つ乳酸菌が減少し、悪玉菌が増え炎症が起きた状態

の女性6人に ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり700mg摂取(2名は妊娠前から、4名は妊娠後摂取)してもらったところ、1ヵ月後から腟内フローラはラクトバチルス属細菌が優勢となり、最終的に6人中5名が無事に出産を迎えました。

妊娠への「体づくり」に期待のラクトフェリン

赤ちゃんを授かりたいと願う女性のために、受精をサポートするタイミング法、排卵誘発、人工授精から、体外で受精させた卵を子宮内に戻す体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などの医療技術があります。また、受精や着床の妨げとなる腟・子宮内の炎症の原因となる感染症の治療には抗菌剤や抗生物質などの投与という治療があります。
最近の臨床研究結果から、医療とは別の“お母さんになるための体づくり”という点において、ラクトフェリンへの期待が高まっています。
治療中のご自身の体づくりにラクトフェリンを取り入れてみたいという方は、かかりつけの先生にご相談ください。

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