最近、妊活中の方がクリニックの先生からラクトフェリンを勧められるという話が増えているようですが、
「どうして妊活とラクトフェリンが関係するのだろう…」と思った方はいらっしゃると思います。
そのような方は是非、以下をお読みください。
2016年に不妊と腟及び子宮内の細菌叢の関係を調査した結果、正常な子宮内の細菌叢(さいきんそう)は着床期間中、非常に安定に保たれること、また、細菌叢中のラクトバチルス属細菌の割合の低下が対外受精患者の妊娠率・着床率・妊娠継続率・出産成功率の低下と相関していることなどが報告されています。
ラクトバチルス 優位群 |
ラクトバチルス 低位群 |
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妊娠率 | 70.6% | 33.3% |
着床率 | 60.7% | 23.1% |
妊娠継続率 | 58.8% | 13.3% |
出産成功率 | 58.8% | 6.7% |
【出典】Moreno I et al. Am J Obstet Gynecol. 2016 Dec;215(6):684-703. Evidence that the endometrial
microbiota has an effect on implantation success or failure.
ラクトフェリンは、細菌の生存・増殖に必要な鉄を奪う能力により静菌作用(細菌の発育や増殖を抑えるはたらき)をもっています。
2016年、早産を繰り返す難治性細菌性腟炎患者の腟内細菌叢は、正常な腟内に多いラクトバチルス属細菌が顕著に減少しており、このような患者にラクトフェリンの摂取をすすめたところ、ラクトバチルス属細菌が増加し、妊娠にいたった事例が報告されています。
臨床試験 1
9名の不妊症の女性に抗生物質を1週間投与後、ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり300mg摂取してもらい、2ヵ月後に子宮内フローラを調べたところ、全例においてラクトバチルス属の割合が大幅に高くなりました。
【出典】Kyono K. Hashimoto T. Kikuchi S. Nagai Y. Sakuraba Y. A pilot study and case reports on endometrial
microbiota and pregnancy outcome: An analysis using 16S rRNA gene sequencing among IVF patients,
and trial therapeutic intervention for dysbiotic endometrium. Reprod Med Blol. 2018
臨床試験 2
ラクトバチルス属細菌の割合が少なく、2回の体外受精が成功せず、次の体外受精前にフローラの改善を希望した33歳の女性に抗菌抗生物質での治療と並行し、ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり300mg摂取してもらいました。24日後に子宮フローラを調べたところ、ラクトバチルス属細菌の割合が高くなっており、その後、体外受精で妊娠に成功しました。
腟を酸性に保つ乳酸菌が減少し、悪玉菌が増え炎症が起きた状態
赤ちゃんを授かりたいと願う女性のために、受精をサポートするタイミング法、排卵誘発、人工授精から、体外で受精させた卵を子宮内に戻す体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)などの医療技術があります。また、受精や着床の妨げとなる腟・子宮内の炎症の原因となる感染症の治療には抗菌剤や抗生物質などの投与という治療があります。
最近の臨床研究結果から、医療とは別の“お母さんになるための体づくり”という点において、ラクトフェリンへの期待が高まっています。
治療中のご自身の体づくりにラクトフェリンを取り入れてみたいという方は、かかりつけの先生にご相談ください。