冬期に流行するインフルエンザは、くしゃみによる飛まつで感染し、
風邪に比べ強い発熱や倦怠感の全身症状を伴います。
高い病原性をもったインフルエンザは、定期的に流行し、2009年には世界中で猛威をふるい、
国内でも2000万人がインフルエンザにかかったといわれています。
直近のシーズンでは病原性は例年並みでしたが、特に受験シーズンに大流行しました。
【出典】国立感染症研究所
インフルエンザ定点あたり報告数から改変
風邪症状を引き起こすウイルスが、鼻や喉の粘膜から侵入し細胞内で増殖すると、喉や鼻に症状が現れます。悪化すると肺の呼吸細気管支(気管支の終末部分)の炎症や、発熱などが起き、これらはいわゆる風邪と呼ばれています。
ウイルスによる風邪のうち、インフルエンザウイルスによる風邪症状をインフルエンザと呼んでいます。
【出典】武田製薬
健康な人では症状が現れても数日から1週間程度で回復しますが、まれにとても重い症状(脳症)や死に至ることもあり、単なる風邪と甘くみることはできません。
インフルエンザがほかの感染症と異なるのは、ウイルスの変異によって病原性の高いインフルエンザが新しく生まれ、世界的な流行が起こることです。
過去には、人類の存亡にかかわるとされた流行がありました。
1918~1919年の流行は、全世界20億人のうち5億人が感染し、5,000万~1億人が死亡したとされています。日本の死者数も38万人を記録しました。
【出典】大幸薬品webページ
新型のインフルエンザの大流行が起きた場合、最低限のライフラインを残して人々の行動を制限することが、
感染拡大防止に重要であると考えられています。
インフルエンザの予防を目的として、ワクチン接種が行われています。ワクチンは「獲得免疫」を強化するもので、次のシーズンに流行するインフルエンザウイルスをあらかじめ予測してワクチンが製造されています。
新型のインフルエンザが流行するとワクチンでの予防はできません。抗インフルエンザ薬が開発されていますが、感染初期に投与する必要があることに加え、耐性ウイルスが既に出現していることから、病気が重くなりそうな方に薬の使用を限定すべきとの考えがあります。
インフルエンザの感染を完全に予防することは難しいですが、例えば部屋を加湿すること、外出後の手洗いやうがいの励行やワクチンの接種も行うことが望まれます。
睡眠を充分にとって体調を整えることも重要です。
インフルエンザは、ワクチンによる予防と薬による治療が最も有効ですが、
ラクトフェリンがインフルエンザに効果を示す可能性について近年研究が進んでいます。
【出典】International Dairy Journal 47 (2015) 79e85
がん細胞やウイルス感染細胞の除去等を行うリンパ球の1種
【出典】Biofactors. 2004;21(1-4):69-72
ウイルスの感染により局所で産生される物質で、体内の抗ウイルス物質。
市場には様々なラクトフェリンサプリメントがありますが、インフルエンザの感染予防に効果があることを実証したサプリメントは、残念ながらありません。
インフルエンザの流行期間中にNK細胞活性やインターフェロンαの産生能を高めることは、ラクトフェリンによるインフルエンザ予防の可能性を示してはいますが、感染予防効果を直接示したデータではありません。
もし、ラクトフェリンによる感染予防の可能性に着目する場合、次のようなポイントに留意してください。