本当は怖い!

歯周病をただの虫歯と
勘違いしていませんか?

成人の82%が歯周病で40%以上が歯を失う原因に!

歯と歯肉の境目に付着した細菌が増殖し、歯肉が慢性的に炎症を起こして組織破壊が起こる病気を歯周病と呼んでいます。
30代でも約8割が歯周病にかかっていますが、初期には痛みがないことから放置され、歯を失う大きな原因になります。

歯周病の罹患率

歯周病の罹患率

【出典】厚生労働省「平成23歯科疾患実態調査」より

歯周病は歯だけではなく、痴ほうや動脈硬化等の原因にも

歯周病から歯を失い栄養がかたよるために体調維持が難しくなるだけでなく、近年では様々な病気の原因になっている可能性が指摘されています。
例えば、重度歯周病にかかることと認知機能の低下が関連しているとの報告に加え、歯周病の原因菌の一つである
ジンジバリス菌

歯周病の病原菌

細菌毒素

細菌の産生する病原性を持つ物質

がアルツハイマー病患者の脳にも見つかったことが報告されています。
動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロしたお粥状の物質がたまる「アテローム性動脈硬化症」の重症度が、歯周病と関連しているとの報告もあります。
歯周病を予防・治療することで、これらの慢性疾患を予防できるかどうかについては、まだ研究途上ですが、循環器の術前には感染性心内膜炎(細菌が心臓等に炎症を起こす急性の病気)の予防のために虫歯や歯周病の治療が行われています。
歯周病は下の図のように、口の中の病気というだけではなく、様々な疾患の原因になっている可能性があります。

歯周病は様々な疾患の原因に

疾患の原因

【出典】公益財団法人8020推進財団
「からだの健康は歯と歯ぐきから」

気づいたときにはすぐに抜歯につながる歯周病

歯周病は沈黙の病気と呼ばれ、腫れや痛み等の症状がないまま病状が少しずつ悪化し、気づいた時には抜歯が必要な病状の場合もあります。
歯周病は歯科医による定期的な検診による細菌性プラークや歯石の除去等の治療が必要です。
治療後も正しいブラッシングやフロッシングに加え、物理的な清掃が届かない場所へ補助的に殺菌剤の入った洗口剤を用いることも行われています。

歯周病の予防

歯周病の予防

【出典】日本臨床歯周病学会

ラクトフェリン摂取時の
臨床試験データ
(対、歯周病)

研究が継続中のラクトフェリンと歯周病

唾液中にはヒトの体で作られたラクトフェリンがもとから含まれており、ラクトフェリンの抗菌作用が口腔内の環境維持に関与していると考えられてきました。
歯周病の治療・予防の基本は原因細菌の物理的な除去と殺菌剤による殺菌ですが、長期的な殺菌剤使用への安全性への懸念もあり、もともと唾液中にも存在する安全なラクトフェリンが歯周病に役立つのではないかとの観点から応用研究が行われています。

研究中

歯周ポケットの細菌数の抑制や深さの改善を試験

ラクトフェリンの歯周病への効果について、1996年から複数の研究が行われています。直接ラクトフェリンを口腔内で溶解したり、錠剤を内服したりと投与方法は様々ですが、出血や歯周ポケットの深さ等の症状が改善したり、歯周ポケット中の細菌数が抑制されたり、という症例が報告されています。
歯周病はまずなにより歯科医による定期的な検診と治療が必要ですが、治療後の再発抑制等に補助的にラクトフェリンが使えないか、今後の研究が期待されます。

歯周病に対するラクトフェリンの効果

改善データ
PDとBOP:プローブといわれる細い物差しで、歯周ポケットの状態を調べ、深さ(PD)と出血状態(BOP)を調べたもの。
PBMCs:リンパ球や白血球の一種である単球を含む末梢血から分離された細胞のことを指し、具体的にはT細胞、B細胞、NK細胞、単球、樹状細胞等が該当する。
サイトカイン:細胞から分泌され、生理活性を調節するタンパク質を総称したもの。
徐放性パッチ:剤口腔内で徐々に溶けていく性質の貼付剤。

お役立ち
コンテンツ

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  • 最新の研究論文一覧
  • 利用するうえで知っておきたいこと