歯と歯肉の境目に付着した細菌が増殖し、歯肉が慢性的に炎症を起こして組織破壊が起こる病気を歯周病と呼んでいます。
30代でも約8割が歯周病にかかっていますが、初期には痛みがないことから放置され、歯を失う大きな原因になります。
【出典】厚生労働省「平成23歯科疾患実態調査」より
歯周病の病原菌
細菌の産生する病原性を持つ物質
【出典】公益財団法人8020推進財団
「からだの健康は歯と歯ぐきから」
歯周病は沈黙の病気と呼ばれ、腫れや痛み等の症状がないまま病状が少しずつ悪化し、気づいた時には抜歯が必要な病状の場合もあります。
歯周病は歯科医による定期的な検診による細菌性プラークや歯石の除去等の治療が必要です。
治療後も正しいブラッシングやフロッシングに加え、物理的な清掃が届かない場所へ補助的に殺菌剤の入った洗口剤を用いることも行われています。
【出典】日本臨床歯周病学会
唾液中にはヒトの体で作られたラクトフェリンがもとから含まれており、ラクトフェリンの抗菌作用が口腔内の環境維持に関与していると考えられてきました。
歯周病の治療・予防の基本は原因細菌の物理的な除去と殺菌剤による殺菌ですが、長期的な殺菌剤使用への安全性への懸念もあり、もともと唾液中にも存在する安全なラクトフェリンが歯周病に役立つのではないかとの観点から応用研究が行われています。
ラクトフェリンの歯周病への効果について、1996年から複数の研究が行われています。直接ラクトフェリンを口腔内で溶解したり、錠剤を内服したりと投与方法は様々ですが、出血や歯周ポケットの深さ等の症状が改善したり、歯周ポケット中の細菌数が抑制されたり、という症例が報告されています。
歯周病はまずなにより歯科医による定期的な検診と治療が必要ですが、治療後の再発抑制等に補助的にラクトフェリンが使えないか、今後の研究が期待されます。