誰にでも口臭はありますが、ドブ臭くても自分では自覚しにくかったり、逆に口臭がないのに気になりすぎてチェックしたりと、悩ましいのが口臭対策です。
口臭は、主に舌苔(ぜったい)といわれる、舌の上の白く濁った物質や歯垢がたまりやすい歯周ポケットが2大発生源だといわれています。
これらに存在する細菌がタンパク質を分解してできる硫黄分子を含む香気物質が口臭の主な原因です。
定期的に歯科医で検診を行い未治療の歯周病部位があれば、治療を行うことが大切です。
日常のお手入れにおいても歯磨きに加えてフロスや歯間ブラシを使ってプラークをできるだけ落とすことが重要と考えられます。
舌苔は舌苔用ブラシで“こする”というより軽くなでるという意識が大切で、力を入れすぎないように注意しましょう。
舌は水で必ず濡らし、ハブラシは舌の「奥から手前」に動かします。ハブラシを手前から奥に動かしたり、前後に往復させたりするのはやめましょう。舌の表面に付着している細菌をのどの奥へ送り込んでしまう危険があります。
健康な方では毎日1.5Lの唾液が分泌されるといわれていますが、加齢やストレスで唾液の分泌量が減ることが知られています。
ちなみに唾液には、ラクトフェリンが含まれており、糖質の消化や歯の再石灰化の他に、細菌や食べカスを洗い流して粘膜を守る作用があります。口臭対策には唾液量を増やすこと(口が乾燥するドライマウスにならない)が大事だと考えられます。
分泌量が減ったと自覚できるときは、飴をなめたりガムをかんだりするか、唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)を手でマッサージすることで大きく改善できる場合があります。
01耳下線マッサージ
親指以外の指を頬と耳たぶの間にあて、円を描くように奥から前に向かって回します。
02顎下線マッサージ
指先を使い、耳の下から顎の先まで顎骨に沿って顎の内側を何カ所か押すようにします。
03舌下線マッサージ
両手の親指をそろえて、顎の真下から舌を突き上げるようにゆっくりと押します。
【出典】第一三共ヘルスケア
ラクトフェリンの腸溶製剤を1日あたり300mg摂取させ4週間にわたって口臭の原因物質を測定した臨床試験があります。
摂取前と比較すると口臭の主要な原因物質である硫化水素の濃度は、参加者12名のうち11名で減少しました。
口臭の減少だけでなく、歯周組織の改善傾向も報告されています。
摂取1~2週目では効果がみられないことから、ラクトフェリン摂取による口臭への効果は3~4週間の摂取が必要であると考えられました。
【出典】清水友ら ラクトフェリン 2007 p214-219
口臭対策に様々なサプリメントが販売されていますが、その多くは、チュアブルやガムタイプで、唾液の分泌を促し、香料による遮蔽効果を狙ったもので、一時的な効果に適していると考えられます。
効果が表れるまで3~4週間が必要ですが、腸まで届く、腸溶性タイプのサプリメントは口腔内環境とともに口臭も改善していると考えられることから、より根本的なアプローチと考えらます。
日頃の口腔ケアに加えて、腸溶性のラクトフェリン(1日300mg)を取り入れることで、より口臭の抑制効果が期待されます。